学習することができます。
学ぶ目的
監視の次は、知らせ方
第4回で「何を見張るか」を決めました。次は見つけたことを、誰に、どう知らせるかです。障害のときに呼び出しを受ける当番のことを「オンコール」と呼びます。
特定の有料ツールの使い方ではなく、どのツールにも共通する設定の考え方を押さえます。
全部を同じ重さで知らせると、本当の障害を見落とす
通知を全部「重要」にすると、どうなるか。最初はすべてに目を通します。でも、すぐに対応しなくていい知らせが毎日何十件も来ると、人は通知を見なくなります。これを「通知疲れ」と呼びます。そして、本当の障害の通知も、ほかと同じ見た目で埋もれます。
naminori でも起きました。2026年9月にエラー監視を見直すと、ボットの探索が起こす、対応のいらないエラーが1,143件通知されていて、その中に本物の不具合が33件埋もれていました(登録の通知が、特定の入力で丸ごと落ちる不具合でした)。対応のいらないものを通知から外したことで、「見れば異常が分かる」状態に戻りました。
ただし、外したものは見えなくなります。講座34の第5回で見たとおり、外した種類のエラーの中に、あとで本物の不具合が混ざることもあります。通知から外すときは、何を、なぜ外したかを書き残しておきます。
重さを3段階に分ける
知らせる前に、その知らせで人が何をすべきかで分けます。
| 重さ | 例 | 知らせ方 |
|---|---|---|
| 今すぐ | サイト全体が開けない、作業の途中で止まった | 当番を呼び出す(夜中でも) |
| 今日中 | 定期処理が止まっている、特定の画面でエラーが続く | 営業時間に見る場所へ |
| 記録だけ | 一時的な通信の失敗、ボットのアクセス | 通知せず、あとで集計する |
「この通知が来たら、何をするか」を答えられない通知は、重さを下げるか、通知をやめます。
通知先を、役割で分ける
naminori では、知らせの種類ごとに行き先を分けています。
- エラーは GlitchTip に集める。チャットには流さない
- 会員の行動(登録・診断・講座の開始・応募など)は ntfy(スマホに通知を送る仕組み)に送る。求人への応募と無料相談の申し込みは、ほかより重さを1段上げている
- OSの更新のような夜中の作業は、段階ごとに ntfy に知らせ、失敗したときだけ最も重い通知にする
会員の行動の通知は、30日で登録7件・診断1件・講座の開始4件という件数だったので、まとめずに1件ずつ送ると決めました。件数が増えたら、まとめて送るように見直します。通知の設定は、件数を見て決め、件数が変わったら見直すものです。
当番とエスカレーション
呼び出しは「誰かが見るだろう」では届きません。どのツールでも、次の3つを設定します。
- 当番表: いま誰が受けるか。人の名前ではなく、当番に送る
- 受けたことの合図: 当番が「見ています」と返すと、ほかの人への呼び出しが止まる
- エスカレーション: 一定の時間、合図が無ければ次の人へ回す
通知に、次にやることを添える
夜中に起こされた人は、頭が回っていません。通知の本文には、次に何を見て、何をすればいいかを添えます。手順を書いた文書を「ランブック」(手順書)と呼びます。
- どこを開けば詳しく分かるか(naminori の会員の通知は、管理画面の該当ページへのリンクを付けている)
- 何が、いつから、どのくらい起きているか(定期処理の見張りは、何が何日古いかを本文に書く)
- 手順書の場所
通知の経路そのものも壊れる
最後に、通知が届かないことにも気づける必要があります。naminori では、ntfy の鍵(トークン)が無効になっていた期間、要望フォームの通知が届いていませんでした。定期処理の失敗通知を作る途中で、ようやく気づきました。
- 大事な知らせは、2つの経路に送る(naminori の定期処理の失敗は、エラー監視と ntfy の両方へ)
- 両方に失敗したら、その事実を記録に残す
- 鍵を差し替えたら、実際に1件送って届くことを確かめる
このレクチャーで学ぶこと
- 通知疲れで本当の障害を見落とす理由
- 重さを3段階に分け、通知先を役割で分ける
- 当番・受けた合図・エスカレーション
- 通知に手順書を添える、通知の経路も確かめる
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