エンジニアを目指す人へ 公開 2025.02.21 更新 2026.11.01

SESの年収はいくら?過去の掲載求人35件の給与欄と国税庁データで見る相場と上げ方

執筆・監修: 徐 聖博/株式会社シンシア 代表取締役社長

SESの年収はいくら?過去の掲載求人35件の給与欄と国税庁データで見る相場と上げ方

SESだけの公的な年収統計はありません。ナミノリが過去に掲載した客先常駐・SES型の求人35件(いずれも募集停止)の給与欄では、下限の中央値は300万円、上限は会社によって600万円と800万円以上に分かれました。

SESの年収はいくら?過去の掲載求人35件の給与欄と国税庁データで見る相場と上げ方

描かれたルートの上の走る男性

「SESの平均年収は〇〇万円」。検索するといくつもの数字が出てきます。ただ、その多くは人材会社が自社の登録者から出した値で、国の統計にSESだけを切り出した数字はありません。

そこでナミノリでは、これまでに掲載した求人のうち、客先常駐・SES型と読める35件(15社、2024年9月〜2025年4月に登録)の給与欄を数えました。先に結論を書きます。

  • 下限(入社時の提示額)はほぼ横並びです。35件の中央値は300万円。未経験可の求人でも同じ水準でした
  • 差がつくのは上限です。1社がまとめて出していた19件は上限540〜600万円で止まり、残り14社16件のうち上限を書いた11件は中央値800万円でした
  • 上限を決めているのは年数より「単価と還元率を開示する会社か」です。還元に触れていた5件のうち4件は、上限が800万円以上でした

この35件は、いま応募できる求人の一覧ではありません。 2024年9月〜2025年4月に登録した過去の求人で、35件とも募集を停止しています。2026年11月1日時点でナミノリに公開中の求人は6件で、すべて運営会社シンシアの募集です(この35件には含まれません)。集計は2026年10月25日、募集の状況は2026年11月1日時点です。

この記事では、過去の求人35件の給与欄と公的統計をもとに、SESの年収の現在地と、30代までにどこで差がつくかを示します。

SESの年収を公的統計で見るとどうなるか

最初に、比べる物差しを置きます。

統計 値 出典
給与所得者全体の平均給与 487万円 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」(2026年9月公表)
情報通信業の平均給与 682万円 同上
資本金2,000万円未満の株式会社の平均給与 416万円 同上
資本金10億円以上の株式会社の平均給与 692万円 同上
システムエンジニア(受託開発)の平均年収 578.5万円(平均37.1歳) 厚生労働省 job tag(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)

SESはこのどれにもそのまま当てはまりません。賃金構造基本統計調査は職種で集計しており、「客先で働くかどうか」では分けていないからです。

それでも読み取れることがあります。同じ情報通信業でも、勤め先の規模で平均給与は約1.7倍違う。 SES企業の多くは中小規模です。SESの年収が低く見えるのは、仕事の中身より先に、会社の規模と商流(元請けから何社目か)の影響を受けているためです。

過去の求人35件で見たSESの年収レンジ

集計した求人

ナミノリに過去に掲載した求人のうち、本文に「客先常駐」「SES」「派遣」「準委任」「還元率」「案件選択」などの記載がある求人、または会社の事業内容にSES・派遣・常駐開発があると書かれた求人を対象にしました。運営会社シンシアの募集と、同じ内容の複製は除いています。35件とも現在は募集を停止しています。

月給で書かれた求人は12倍して年額にしました(賞与は含みません)。

下限は横並び、上限で分かれる

区分 件数 下限(入社時) 上限
35件全体 35件・15社 中央値300万円(200〜500万円) 記載30件・中央値552万円
1社がまとめて出していた求人 19件 240〜300万円 540〜600万円
残り14社 16件 中央値318万円(200〜500万円) 記載11件・中央値800万円(312〜960万円)

19件を出していた1社は、地方拠点ごとに同じ給与体系で募集していました。この会社に入ると、上限は600万円です。経験を積んでも、その会社の等級表の外には出られません。

一方、上限800万円以上を書いていた6件には共通点がありました。6件中4件が、還元率か還元の方針を本文に書いていたことです(「単価の8割超を還元」「案件単価の最大85%を還元」「高還元」)。

還元率を数値で書いていた求人は3件だけ

還元の書き方 年収レンジ
「単価の8割超」「還元率8割以上」 450〜900万円(2件)
「案件単価の最大85%を還元」 月給32万〜80万円(年額384〜960万円)
「高還元」とだけ記載 300〜800万円
「利益は社員に還元」とだけ記載 月給20万〜26万円

35件のうち、還元に触れていたのは5件、率を数値で書いていたのは3件、単価に触れていたのも同じ3件でした。残りの32件は、自分の単価がいくらで、そのうちいくらが給与になるのかを、求人票からは確かめられません。

単価と還元率から自分の年収を逆算する

SESの年収は、おおむね次の式で決まります。

月の給与 ≒ 月単価 × 還元率

たとえば月単価60万円・還元率80%なら月48万円、年576万円です。ただし、ここに落とし穴が一つあります。

還元率に「会社が負担する社会保険料」を含めるかどうかは、会社によって違います。 健康保険・厚生年金・雇用保険などの会社負担分は、給与のおよそ15%です。含めて計算する会社なら、月48万円のうち約6万円は会社負担分にあたり、額面の給与は月42万円前後(年約500万円)になります。

面接で還元率を聞くときは、次の3点をセットで確かめてください。

  1. 還元率の分母は、自社が受け取る単価か(2次請け以下なら、元の単価より低い)
  2. 会社負担の社会保険料・賞与・交通費を含めた率か
  3. 自分の単価を本人に開示するか

3つ目に答えない会社は、還元率の数字があっても確かめようがありません。

30代までにSESの年収はどこで差がつくか

年齢別の公的なSESの年収統計はありません。求人票から読める範囲で言えるのは、30代の年収を決めるのは、20代にどの会社の等級表に乗ったかということです。

段階 目安 次の段階に進む条件
入社〜2年目 下限の300万円前後 テスト・運用だけでなく、実装の工程に入る
3〜5年目 400〜500万円台 詳細設計・顧客との調整を任される。単価が上がる
30代 会社の上限で止まる(今回集計した過去の求人では600万円か、800〜960万円か) 単価の高い案件に移るか、上限の高い会社に移る

上限600万円の会社で単価が上がっても、給与は600万円で止まります。逆に、還元率を開示している会社では、単価が上がった分が給与に返ってきます。30代で「SESは上がらない」と感じる人の多くは、仕事ではなく、この上限に当たっています。

30代で年収を上げたい場合、選択肢は3つです。

  • 同じSESのまま、単価を開示する会社に移る。 実務3年以上あれば、還元率の高い会社の経験者採用の条件に入ります
  • 自社開発・社内SEに移る。 単価ではなく社内の等級で決まります。違いは自社開発と受託開発の違いと社内SEになるにはで整理しています
  • 上流工程やクラウドの経験を取りにいく。 単価そのものが上がります。資格の順番はAWS資格の順番が参考になります

年収1000万円が見えるのはどの役割かは、エンジニアで年収1000万は可能?で、これまでの掲載求人78件をもとに書いています。

待機期間の給与は、過去の求人35件のどれにも書かれていなかった

SESには、案件と案件の間に配属先がない「待機」があります。35件のうち、待機中の給与について書いていた求人は0件でした。

会社の都合で仕事がない期間は、労働基準法26条により、会社は平均賃金の6割以上の休業手当を払う必要があります。ただ、実際には「待機中も満額」「待機中は基本給のみ」など会社ごとに扱いが違います。面接で必ず聞いてください。

求人票のどこを見ればよいかは、SESの見分け方で、過去の求人35件の記載をもとにまとめています。

未経験からSESに入る場合の年収

未経験可と書かれた求人10件の下限の中央値は318万円で、全体(300万円)とほぼ同じでした。未経験だから大きく下がる、ということは今回集計した過去の求人では見られません。 差がつくのは、入社後に何の工程に配属されるかです。

運用監視やヘルプデスクの案件が続くと単価が上がりにくく、3年たっても下限近くにとどまります。入社前に「未経験入社の人が最初に配属される案件の例」を聞き、開発・構築の工程に入るまでの道筋を確かめておくと、年収の伸び方が変わります。

学習の土台は、応募前に作っておけます。ナミノリの無料講座は、修了した講座が応募先の企業にも表示されます。

よくある質問

SESの平均年収はいくらですか?

SESだけを切り出した公的統計はありません。ナミノリが過去に掲載した客先常駐・SES型の求人35件(いずれも募集停止)では、入社時の下限の中央値が300万円、上限の中央値が552万円でした(月給は12倍、賞与を含まない)。参考までに、システムエンジニア(受託開発)全体の平均年収は578.5万円です(厚生労働省 job tag)。

30代のSESエンジニアの年収はどのくらいですか?

年齢別の公的な統計はありません。求人票から言えるのは、30代の年収は会社の上限で決まりやすいということです。ナミノリが過去に掲載した求人35件(いずれも募集停止)では、上限が600万円で止まる会社と、800〜960万円まで書いている会社に分かれました。30代で伸びが止まったら、仕事より先に会社の上限を確かめてください。

SESで年収500万円は可能ですか?

可能です。ナミノリが過去に掲載した求人35件(いずれも募集停止)で上限を書いていた30件のうち、28件は、上限が500万円以上でした。ただし下限は300万円前後なので、入社してから単価の上がる工程(設計・構築・顧客対応)に移れるかが分かれ目です。

SESの還元率はどのくらいが目安ですか?

ナミノリが過去に掲載した求人35件(いずれも募集停止)で率を数値で書いていたのは3件で、「8割超」「8割以上」「最大85%」でした。ただし、会社負担の社会保険料を含めるかで、同じ80%でも額面は1割強違います。率の高さより、単価を本人に開示するかを先に確かめてください。

SESの年収が上がらないのはなぜですか?

多くは、商流が深く単価が低いこと、還元率が開示されず単価の上昇が給与に返ってこないこと、会社の給与上限が低いことのいずれかです。ナミノリが過去に掲載した求人では、1社が出していた19件の上限が540〜600万円に固まっていました。

SESから自社開発に転職すると年収は上がりますか?

上がるとは限りません。自社開発企業でも下限は300万円台の求人が多く、上がるかどうかは、その会社の等級と自分の経験の中身によります。設計から実装まで担当した経験があると、経験者採用の条件に入りやすくなります。

まとめ

  • SESだけの公的な年収統計はない。ナミノリが過去に掲載した求人35件(いずれも募集停止)では、下限の中央値300万円、上限の中央値552万円
  • 差がつくのは上限。1社19件は600万円で止まり、残り14社で上限を書いた11件は中央値800万円
  • 上限の高い求人は、還元率や単価の考え方を書いていた。面接では「還元率の分母」「社会保険料を含むか」「単価を開示するか」を聞く
  • 待機中の給与を書いた求人は0件。必ず確かめる

自分に合う求人を探すときは、給与の下限より上限と、その上限に届く条件を見てください。いま募集中の求人の給与レンジと仕事内容、選考の流れは、ナミノリの求人一覧で確かめられます(2026年11月1日時点でナミノリに公開中の求人は6件で、すべて運営会社シンシアの募集です)。応募の前に学習を進めておきたい人は、会員登録すると講座の進み具合を記録できます。

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