システムエンジニアは残業が多い?その理由と残業が少ない職場の見極め方
執筆・監修: 徐 聖博/株式会社シンシア 代表取締役社長
システムエンジニアの仕事は専門性が高く、さまざまな分野において重要な役割を担っています。
目次
システムエンジニアは残業が多い?その理由と残業が少ない職場の見極め方

システムエンジニアと聞いて、深夜まで灯りのついたオフィスを思い浮かべる人は少なくない。専門性が高く、あちこちの現場で欠かせない仕事でありながら、「残業が多い」という影が、この職業にはついて回る。
では、そのイメージはどこまで本当なのか。実際の残業時間から、残業がふくらむ理由、そして減らすための具体策まで、順に掘り下げていく。これから目指す人にも、いま現場にいる人にも、働き方を立て直す手がかりになるはずだ。
システムエンジニアの平均残業時間
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残業時間は、プロジェクトの状況や会社の文化しだいで大きく変わる。それでも全体を見渡すと、他の職種より多めに出るのは確かだ。
忙しさや時期で上下はするが、平均すればおおむね月10時間から30時間程度に収まることが多い。ただ、これはあくまで平均だ。プロジェクトによっては、これを大きく超える月も珍しくない。
その背景には、迫る納期や突発的なトラブル対応など、いくつもの要因が絡んでいる。数字の裏で何が起きているのかをつかんでおくことは、これからのキャリアを描くうえで欠かせない。
システムエンジニアは残業が多いといわれる理由
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残業がふくらむ背景には、いくつかの決まった理由がある。理由の正体さえつかんでおけば、残業の多い現場に入ってしまっても、打つ手が見えてくる。主なものを順に見ていこう。
納期までのスケジュールがタイトな場合があるから
システム開発では、納期が厳しく引かれることが少なくない。とりわけ大規模なものや、複数のシステムが噛み合う複雑な案件では、スケジュールに余裕がなくなりがちだ。締め切りが近づくほど、残業は積み上がっていく。
納期に間に合わせるには、限られた時間で最大限を出しきるしかない。だから、どうしても残業がかさむ。ここで効くのが、着手前の段取りだ。現実的なスケジュールを見積もり、それを筋道立てて説明できるだけの根拠と対話を、あらかじめ積み重ねておきたい。
それでも現場の努力では抱えきれないこともある。そのときは、現場の声に耳を貸すプロジェクトマネージャーか、会社そのものの体質はどうか、といった一段上の見極めが必要になる。
仕様変更やトラブル発生時に急ぎの対応が求められるから
開発の現場では、仕様変更も予期せぬトラブルも日常茶飯事だ。ひとたび起きれば、すぐに手を打たなければならない。とりわけ重大な障害が出れば、復旧のために長時間の残業を強いられることもある。
こうした突発対応は、残業時間を一気に押し上げる。いざというとき最小限の人手でさばけるよう、日頃からチーム内で情報を共有し、特定の人しか触れない状態をつくらないよう努めておきたい。
業界全体で人手が不足しているから
システムエンジニアはIT業界の要でありながら、慢性的な人手不足に苦しんでいる。とりわけ高いスキルを持つ人材が足りず、その分だけ一人あたりの仕事量がふくらんでいく。
結果として残業が増え、仕事と生活の釣り合いが崩れ、そのまま職場を去ってしまう人も少なくない。人手不足が、さらなる人手不足を呼ぶ。
現に、エンジニアの求人倍率は2020年の3.2倍から2024年には4.3倍まで上がったというデータもある。裏を返せば、未経験者や経験の浅いエンジニアを育てる仕組みを整えることが、残業問題をほどく糸口になる。
業界の残業体質が根強く残っているから
IT業界には、残業をどこか美徳とみなす古い体質が、いまだ残る現場もある。長く働くことを当たり前とする空気。そして、成果より働いた時間を評価するしくみ。この二つが、その体質を支えている。
加えて、クライアントの急な仕様変更や無理な短納期を、「現場が何とかする」で押し切ろうとする発想も、根深く残っている。
こうした構造の問題が、労働時間を削ろうとする動きに立ちはだかる。その積み重ねが、業界全体で残業を「普通のこと」にしてしまっている。
システムエンジニアが残業を減らす方法
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とはいえ、残業は「仕方のないもの」と諦めるしかないのだろうか。そうではない。工夫しだいで削れる余地は、思っているより大きい。生活を取り戻すための具体策を、いくつか挙げていく。
- ####業務の自動化・効率化を図る 毎日繰り返す作業や定型の業務は、自動化すれば大きく時間を削れる。テストの自動化、デプロイの自動化など、道具と技術を組み合わせて手作業を減らしていく。
使い勝手のよい開発ツールやフレームワークを取り入れるのも効く。効率化は残業を減らすだけでなく、生産性そのものを押し上げる。取り組んで損はない。
- ####業務分担を見直す 仕事が特定の一人に偏れば、その人の負担がふくらみ、残業もそこに集まる。チームで業務を分け合い、負担を平らにならせば、一人あたりの残業は減っていく。
手を組んで進めておけば、トラブルが起きたときの初動も速い。分担の見直しは、チーム全体の生産性を底上げする一手でもある。
- ####ノウハウを蓄積、共有する 業務で得た知識やノウハウをチームで共有すれば、特定の人しか対応できない状態を防げる。過去のトラブルとその解決策を残しておけば、同じ問題が再び起きても、すぐに対処できる。
共有はまた、チーム全体の底上げにもつながる。ノウハウを溜め、行き渡らせること。これは生産性を高めるうえで欠かせない。
- ####納期調整を相談する 納期がきつすぎれば、無理なスケジュールを走らされ、残業がかさむ。おかしいと感じたら、抱え込まずにプロジェクトマネージャーへ相談し、納期の調整を持ちかけたい。
納期に余裕が生まれれば、無理なく進められ、残業も減る。しかも、それはプロジェクトを成功に近づける動きでもある。ためらう必要はない。
相談のコツは、間に合わない理由を数字で示しつつ、代わりの案までセットで差し出すことだ。
システムエンジニアでも残業の少ない職場を見極めるポイント

長く働き続けるには、そもそも残業の少ない職場を選ぶことも大きい。残業が少なければ、生活の釣り合いを保ちやすく、空いた時間を次のスキルアップに回すこともできる。
では、そんな職場をどう見分ければいいのか。判断の手がかりを挙げていく。
現実的な納期が設定されているかどうか
納期が現実的かどうかは、残業時間を大きく左右する。無理な設定であれば、しわ寄せはそのままエンジニアの残業に降りてくる。
面接や説明会の場では、スケジュール管理や納期の決め方について踏み込んで尋ね、現実的な計画で回しているかを確かめたい。過去のプロジェクトの実例を聞くのも、見極めの助けになる。
アジャイル開発やスクラムを導入しているかどうか
アジャイル開発やスクラムは、進捗を小刻みに管理していく柔軟なやり方だ。これを取り入れている企業では、計画をこまめに見直すため、無理なスケジュールに突き進んでしまうことが少ない。
その結果、残業も抑えられやすい。面接や説明会で開発手法について尋ね、アジャイル開発やスクラムを取り入れているか確かめてみるとよい。
システムの規模に対して開発者の人数が適切かどうか
システムの規模に対して人手が足りなければ、一人あたりの負担が増え、残業が当たり前になっていく。逆に、人数が見合っていれば作業をうまく分け合え、それぞれが無理なく進められる。
見るべきは頭数だけではない。スキルや経験の釣り合いも大事だ。ここが偏ると、負担が特定の人に集中してしまう。面接の場でプロジェクトの規模感やチームの構成を具体的に尋ねれば、入る前に労働環境を推し量る手がかりになる。
システムエンジニアの残業についてよくある疑問
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最後に、残業をめぐってよく聞かれる疑問に答えておく。
システムエンジニアでも残業が少ない職場はある?
残業が多いイメージの強い職種だが、少ない職場もちゃんと存在する。一概には言えないものの、そうした職場には、次のような共通点が見られることが多い。
- チーム内で業務効率化を積極的に行っている
- アジャイル開発などの柔軟な開発手法を取り入れている
- エンジニアの人数が適切に配置されている
残業の多さは、個人の頑張りだけでは片づかないことも多い。だからこそ、入口の企業選びを慎重にしたい。
残業が発生した場合、乗り越えるための心構えは?
どうしても残業が避けられない時期もある。そんなときは、受け止め方を少し変えてみたい。その時間を、スキルを磨く場、新しい技術に触れる機会として使うこともできる。
ただし、無理は禁物だ。残業が続くなら、抱え込まず上司や同僚に相談したい。踏ん張るうえで何より大切なのは、自分の心の健康を保つことだ。
無理を重ねて心も体も崩してしまえば、かえって周りに負担をかけることにもなりかねない。そうなる前に、まず声を上げる。自分の健康を守ることを最優先に、日々の業務に向き合いたい。
まとめ:システムエンジニアでも残業を減らすことはできる

残業が多いというイメージは、たしかにある。だが、ここまで見てきたとおり、手を打てば減らせる。業務を効率化し、チームで支え合い、そして残業の少ない職場を選ぶ。この三つを重ねていけば、生活の釣り合いを保ったまま、システムエンジニアとして長く走り続けられる。深夜まで灯りのついたオフィスは、当たり前の風景ではない。
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