エンジニアが稼げない原因とは?必要なスキルを習得して年収UP
執筆・監修: 徐 聖博/株式会社シンシア 代表取締役社長
エンジニアは専門職でありながら「稼げない」という声を聞くことがあります。IT業界の成長に伴い、エンジニアの需要は増加の一途を辿っているにも関わらず、なぜそのようなギャップが生じるのでしょうか?
目次
エンジニアが稼げない原因とは?必要なスキルを習得して年収UP
エンジニアが稼げないと言われている理由
「稼げない」という言葉の裏には、たいてい次の二つの事情が隠れている。
・エンジニアになる人が増えている
・未経験だと初年度は年収が下がる
エンジニアになる人が増えている
需要が高いなら人が集まる。当然のことだ。ただ、集まりすぎれば話は変わる。目指す人が増えた分だけ市場の競争は激しくなり、単価が押し下げられたり、案件そのものが取りにくくなったりする場面も、現に生まれている。
選ぶ側に回るのは企業だ。候補が増えれば、企業はより優秀な人を選びやすくなり、スキルが追いつかないエンジニアほど後回しにされる。つまり、増えた人数の中で埋もれないことが、稼ぐための最初の条件になる。時代に合った技術を選び、手を動かして形にできる力を、絶えず更新し続けるしかない。
未経験だと初年度は年収が下がる
未経験から飛び込んだ初年度は、経験者に比べて年収が下がりやすい。これは冷たい仕打ちというより、構造の問題に近い。すぐには戦力にならない分、企業は教育のコストを先に負担することになるからだ。
だからこそ、入り口の選び方が効いてくる。研修の手厚い企業に入るか、独学である程度まで仕上げてから動くか。どちらにせよ、初年度の低さは通過点だと割り切れるかどうかで、その後の伸びは変わってくる。焦らず土台を積んだ人ほど、数年後の収入は高い位置に着地しやすい。
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稼げないエンジニアの特徴

年収が頭打ちになる人には、職種や年齢を問わず、いくつか共通した癖がある。
・スキルが不足している
・コミュニケーション能力が低い
・受け身の姿勢で仕事を進めている
スキルが不足している
求められる技術は、数年も経てば入れ替わる。去年の主力が今年は前提知識になっている、という世界だ。更新を止めた瞬間から市場価値はじわじわ下がり、高単価の案件は手の届かないところへ動いていく。
では、追いかけ続けるしかないのか。全部を覚え直す必要はない。一つのフレームワークを芯まで理解し、その骨格を別の技術へ移し替える力があれば、乗り換えの負担はぐっと軽くなる。覚えた知識を、実務で動く形まで落とし込めているかどうかが分かれ目だ。
足りていない自覚があるなら、それはむしろ動き出す合図だ。オンライン学習プラットフォームやプログラミングスクールを足がかりに、手を止めずに埋めていけばいい。
コミュニケーション能力が低い
一人で黙々とコードに向かう、エンジニアにはそんな像がつきまとう。ところが現場に入ってみると、仕事のほとんどはチームで進む。誰かと要件を詰め、誰かに引き継ぐ。だから意思疎通の力は、あってもなくてもいい飾りではなく、仕事の質そのものを左右する。
ここが弱いと、ほころびは思わぬところに出る。チーム内で情報が回らず、顧客との認識がずれる。とりわけ要件定義の段階で相手の要望を取りこぼすと、そのずれは後工程で雪だるまになり、納期の遅れや品質の低下として跳ね返ってくる。
では磨きようがないのかというと、そうでもない。日頃から意識して会話を交わし、相手の話を最後まで聞き、自分の考えを噛み砕いて伝える。派手さはないが、この地道な反復が効く。研修やセミナーで型を借りるのも一つの手だ。
受け身の姿勢で仕事を進めている
言われたことをこなすだけでも、仕事は回る。回ってしまうからこそ厄介だ。受け身のまま日々を過ごすと、伸びる機会は静かに素通りしていき、収入も同じ場所で足踏みする。反対に、新しい技術に手を伸ばし、業務の改善案を自分から出す人は、スキルも評価も少しずつ積み上がっていく。
たとえば、いまの業務フローに引っかかりを感じたとする。そこで改善案を一つ出すだけで、チーム全体の効率に効く。こうした能動的な一歩の積み重ねが周囲の信頼を集め、より高単価な案件を任される入り口になっていく。
受け身の弊害は、技術の話にとどまらない。目の前の作業だけを見ていると、自分が関わる事業がどこで利益を生んでいるのかが見えなくなる。すると、会社に対して何を返せているのかも曖昧なままになる。
自分の収入を上げたいなら、順番はむしろ逆で、まず会社の利益に目を向けたほうが早い。事業の中で自分が何を担っているのかを掴み、そのうえでエンジニアとして最も効く動き方を選ぶ。遠回りに見えて、これが収入への近道になる。
稼げるエンジニアになるために必要なスキル

では、稼ぐ側に回るエンジニアは何が違うのか。突き詰めると、次の三つの要素をどれか一つに偏らせず、バランスよく抱えている。
・プログラミングスキル
・ビジネススキル
・マインドセット
プログラミングスキル|高度な専門知識
土台になるのは、やはり技術力だ。ただし「コードが書ける」ことと「高度」とは、同じではない。ここで言う高度さには、次のような中身が含まれる。
・プログラミング言語に関する深い知識
・最新技術への対応力
・事業に合わせた最適な技術選定スキル
Webアプリケーションの開発を例に取れば、フロントエンドもバックエンドも、データベースもサーバーも、ひととおり見渡せることが前提になる。そのうえで、それぞれをどう噛み合わせるかを判断できる力が問われる。
そして、その見渡す範囲は年々広がっていく。新しい潮流を追い、自分の引き出しを更新し続けられるかどうかが、長く稼げるかを分ける。ここ数年ならAIや機械学習、データサイエンスがその筆頭で、これらに通じたエンジニアの市場価値は頭一つ抜けている。
ビジネススキル|コミュニケーション力と問題解決能力
技術だけでは、どこかで頭打ちが来る。コミュニケーションと問題解決の力は、エンジニアという枠を超えて、働く人すべてに効いてくる種類のスキルだ。
先に触れたとおり、クライアントとの要件定義でも、チーム内の連携でも、意思疎通が滞れば仕事は前に進まない。加えて、進行中に持ち上がる予期せぬ問題を、感情ではなく筋道で解きほぐす力も要る。
どちらも一朝一夕には身につかない。日々のやり取りを意識して重ね、目の前の問題から逃げずに向き合う。その繰り返しが遠回りのようで確実だ。ビジネス書やセミナーで他人の型を借りるのも、悪くない補助線になる。
マインドセット|自己成長意欲と積極性
スキルを最後に動かすのは、結局のところ本人の姿勢だ。学び続けようとする意欲があるかどうか、ここが、同じ技術を持つ人の間にじわじわ差をつける。新しいものを取りに行く手が止まらない人ほど、市場価値は緩やかに上がっていく。
未知のプロジェクトに手を挙げ、問題を自分ごととして引き受ける。会社員である以上、事業に貢献して売上を押し上げるという視点も外せない。こうした構えは目立たないが、周囲の信頼となって返り、気づけばキャリアの階段を一段上がっている。
エンジニアは実際どのくらい稼げる?

「エンジニアは稼げる」も「稼げない」も、じつはどちらも本当だ。同じ職種でも、年齢や職種、働き方が違えば、手にする額はまるで変わる。ここからは実際の数字を、年齢・職種・雇用形態という三つの角度から並べていく。
エンジニアの平均年収
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「Job Tag(日本版O-NET)」によると、システムエンジニアの平均年収は557.6万円(令和5年度)だという。国税庁の調べでは日本人全体の平均が460万円だから、エンジニアはそれより一歩前に出ている計算になる。
ただ、この557.6万円を鵜呑みにはできない。あくまで真ん中の値であって、経験やスキル、業界や職種、雇用形態しだいで、実際の額は上にも下にも大きく振れる。
年齢別
まずは年齢で追ってみる。新卒や未経験から始めた場合、年収はおおむね次のように上がっていく。
| 年齢 | 平均年収 |
|---|---|
| 20〜24歳 | 341万円 |
| 25〜29歳 | 453万円 |
| 30〜34歳 | 512万円 |
| 35〜39歳 | 597万円 |
| 40〜44歳 | 646万円 |
| 45〜49歳 | 674万円 |
| 50〜54歳 | 679万円 |
| 55〜59歳 | 732万円 |
参照: job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
数字を追うと、上がり方に段差があるのがわかる。20代はまだ経験が浅く、額も控えめだ。30代に入って経験を積み、責任ある役割を任されるあたりから曲線が立ち上がる。40代以上は、マネージャーやシニアエンジニアといった高度な役割を担えるかどうかで、さらに差が開いていく。
職種別
角度を職種に変えると、年齢とはまた違う地図が見えてくる。主な職種の平均年収を並べると、下表のとおりだ。
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| コンサルタント | 928万円 |
| プロジェクトマネージャー | 891万円 |
| IT業務の営業・マーケティング | 783万円 |
| 高度SE・ITエンジニア(基板設計担当・ITアーキテクト) | 778万円 |
| IT教育(IT関連講師/インストラクターなど) | 651万円 |
| IT運用/管理(顧客向け情報システムの運用) | 608万円 |
| SE(ソフトウェア製品の開発・実装) | 568万円 |
表の上のほうに顔を出すのは、金融系やコンサルティング系に寄った職種だ。もう一つの傾向もはっきりしている。プロジェクトマネージャーやアーキテクトのように上流を担う役割は、プログラマーやテスターより一段高いところに位置している。どの工程を任されるかが、そのまま額に効いてくる。
会社員・フリーランスの比較
働き方でも数字は動く。大きく分ければ、会社員かフリーランスかだ。会社員なら、平均は先ほど見たとおり500〜600万円あたりに収まる。
フリーランスは、案件ごとに報酬が決まる。腕のある人なら会社員の枠をあっさり超えることもある。もっとも、そのぶん足元は不安定だ。案件が突然打ち切られることも珍しくなく、月ごとの収入は読みにくい。
年齢が上がると、この不安定さはさらに重くのしかかる。そもそも採用の土俵に乗らない、あるいは新しい技術の実践経験がないと声がかからない、独学だけでは厳しい、という壁にぶつかる場面が増えてくる。
稼げるエンジニアのキャリアパス

ここまで数字を眺めてきて一つはっきりするのは、行き先を決めずに歩くと伸び悩みやすい、ということだ。高収入をたぐり寄せるには、自分がどちらへ進むのかを早めに描いておきたい。
一つの道は、特定の技術領域をとことん掘るスペシャリストだ。AIエンジニアやクラウドエンジニアがその代表で、機械学習や深層学習、AWS・Azureといった専門知識を深く持つ人は、市場で高く値付けされる。
もう一つの道は、広く技術を見渡しながらマネジメントで束ねるジェネラリストだ。プロジェクトマネージャーやITコンサルタントがここに入る。技術の理解に加えて、人を率いるリーダーシップと意思疎通の力が問われる。
どちらを選ぶにせよ、共通するものが一つある。学ぶ手を止めず、市場が今ほしがるスキルへ照準を合わせ続けること。それだけは、道が分かれても変わらない。
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まとめ
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冒頭の「需要はあるのに稼げない」という違和感に、ここまでで一応の答えが出た。需要と収入をつないでいるのは、増えた人数の中で埋もれないスキルと、事業を見渡す視点であり、それは放っておいて身につくものではない。学ぶ意欲を絶やさず、市場が高く買うスキルへ手を伸ばし続けること。まずは自分の行き先を一つ決めるところから始めたい。方向に迷うなら、専門のキャリアアドバイザーに一度ぶつけてみるのも手だ。
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