Linuxコマンド初心者の練習帳|安全な練習フォルダで10の操作を確かめながら覚える。受講ログで分かった「選べても書けない」パス
執筆・監修: 徐 聖博/株式会社シンシア 代表取締役社長
pwd・ls・cd・mkdir・cat・cp・mv・grep・wc などLinuxの基本コマンド10個を、新しい練習フォルダの中で1つずつ結果を確かめながら練習します。ナミノリのUNIX初級講座では、選択式では解けたパスの問題を、自分で書くと「./」と「../」で取り違える人がいました。削除や管理者権限の操作はありません。
目次
Linuxコマンド初心者の練習帳|安全な練習フォルダで、10の操作を「確かめながら」覚える
Linuxのコマンドは、一覧を眺めて暗記するより、1つ実行するたびに結果を確かめるほうが早く身につきます。この記事では、新しく作った練習用フォルダの中だけで、10個のコマンドを順に使います。削除や管理者権限の操作は出てきません。
先に、ナミノリの「UNIX初級講座」の記録から分かったことを2つ書いておきます。1つは、受講者がつまずいた場所です。もう1つは、この記事を書くために記録を読み直して見つかった、講座側の誤りです。
受講ログで分かったこと
選べても、書けない
UNIX初級講座(全7回)の各回には選択式の確認テストがあり、最後に修了課題があります。修了課題の一部は、コマンドを自分で書く問題です。
選択式のテストでは、「パスの概念」「パスの使い方」の回は、2回以上かかった人が15人中4人と6人でした。講座の中では少ないほうです。
ところが、修了課題でパスを使ったコマンドを書かせると、様子が変わります。
| 修了課題(自分で書く問題) | 満点の人 |
|---|---|
| 2つ上の階層を経由して別のフォルダへ移動する | 5人中4人 |
| ファイルを隣のフォルダへ移動する(mv) | 5人中4人 |
| ファイルを1つ上の階層へコピーする(cp) | 5人中4人 |
| 隣のフォルダへ移動し、絶対パスか相対パスかを説明する | 5人中2人 |
間違え方には型がありました。1人は、4問すべてで「1つ上」の指定を誤っていました。3問では ../(1つ上)と書くべきところを ./(今いる場所)と書き、残りの1問では上がる段数が1つ足りませんでした。ほかにも、パスは合っているのに cd を書き忘れた回答、絶対パスで正しく移動したものの説明を書かなかった回答がありました。
選択肢の中から .. を選ぶことはできても、今いる場所を頭に置いたまま自分で書くと間違える。この記事では、パスを書く前後に必ず pwd と ls で確かめる手順にしています。
※ 修了課題の回答は5人分(2024年11月〜2025年1月)、講座の受講者は社外の18人です。社内の確認用アカウントは除きました。母数が小さいので、分かるのは傾向までです。集計は2026年9月29日。
一番止まっていた回の原因は、講座側の誤りだった
受講者が一番止まっていたのは「ファイル操作」の回でした。着手した13人のうち4人が完了できず、そのうち3人は14〜19回挑戦したところで止まっていました。
確認テストを読み直したところ、正解の設定が逆になっている問題が見つかりました。
- 「touchコマンドの説明として間違っているのは?」の正解が「ファイルを新しく作成できる」になっていた。touchはファイルを作れるので、これは正しい説明です。間違っているのは「フォルダを新しく作成できる」のほうです
- 「フォルダ操作」の回の「rmdirの説明として間違っているのは?」も同じで、正しい説明(中身のないディレクトリのみ削除できる)が正解になっていた。間違っているのは「ファイルの削除ができる」です
正しく理解していた人ほど不正解になる問題でした。2026年9月29日に2問とも修正しました。途中で止まってしまった方には、申し訳ありませんでした。
この回の数字は「ファイル操作が難しい」ことを表していません。受講ログから分かるのは、上の「選べても、書けない」のほうです。
練習を始める前に
- 対象:Ubuntu などの Linux、WindowsのWSL、macOS のターミナル。以下は bash または zsh で動く書き方です。WindowsのPowerShellやコマンドプロンプトでは動きません
- 場所:自分のパソコンのホームディレクトリの下。会社のサーバーや共有フォルダでは練習しない
-
naminori-cli-practiceという名前のフォルダが既にある場合は、消さずに別の名前(naminori-cli-practice2など)を使う
コマンドは1行ずつ入力して、Enterを押してください。先頭の $ は入力しません。この記事では $ を書かずにコマンドだけを載せています。
1. pwd と ls:今いる場所と、中身を確かめる
pwd
ls
pwd は、今いるディレクトリ(フォルダ)の場所を表示します。/home/あなたのユーザー名 や /Users/あなたのユーザー名 のように、/ から始まる形で出ます。ls は、その中にあるファイルとフォルダの一覧です。
この2つが、この記事で一番大事なコマンドです。 迷ったら、次のコマンドを打つ前にここへ戻ってください。
2. mkdir と cd:練習用のフォルダを作って、入る
mkdir naminori-cli-practice
cd naminori-cli-practice
pwd
mkdir はフォルダを作り、cd はそのフォルダへ移動します。最後の pwd で、表示の末尾が /naminori-cli-practice になっていれば、フォルダの中にいます。
ls を打つと、何も表示されません。作ったばかりで空だからです。
3. printf と cat:ファイルを作って、中身を読む
printf 'HTML\nJavaScript\nSQL\n' > topics.txt
ls
cat topics.txt
topics.txt
HTML
JavaScript
SQL
printf で書いた3行を、> で topics.txt というファイルに書き込んでいます。\n は改行です。ls でファイルができたことを、cat で中身を確かめます。
> は、同じ名前のファイルがあると中身を上書きします。新しい練習フォルダの中だけで使ってください。
中身のない空のファイルを作るだけなら touch topics2.txt でもできます。touchでフォルダは作れません(フォルダは mkdir)。
4. cp と mv:コピーと、名前の変更
cp topics.txt backup.txt
ls
mv backup.txt copy.txt
ls
cat copy.txt
backup.txt topics.txt
copy.txt topics.txt
HTML
JavaScript
SQL
cp はコピーで、元の topics.txt は残ります。mv は移動ですが、同じフォルダの中で別の名前を指定すると名前の変更になります。1回目の ls と2回目の ls で、backup.txt が copy.txt に変わったことを確かめてください(一覧の並びや間隔は環境によって違います)。
5. grep と wc:探す、数える
grep 'Script' topics.txt
wc -l topics.txt
JavaScript
3 topics.txt
grep は、指定した文字を含む行だけを表示します。wc -l は行数を数えます。macOSでは 3 の前に空白が入りますが、意味は同じです。
ここまでで使ったのは、pwd・ls・mkdir・cd・printf・cat・cp・mv・grep・wc の10個です。
6. パスを書く練習:. と .. を使い分ける
修了課題で点を落としていたのが、ここです。まずフォルダをもう1つ作ります。
mkdir notes
ls
copy.txt notes topics.txt
今いるのは naminori-cli-practice で、その中に notes があります。ここで3つのパスを比べます。
| 書き方 | 意味 | 今の場所から見ると |
|---|---|---|
. |
今いるディレクトリ | 練習フォルダ |
.. |
1つ上のディレクトリ | ホーム(練習フォルダの外) |
notes |
今いるディレクトリの中の notes
|
練習フォルダの中の notes
|
notes に入って、1つ上のファイルを読んでみます。
cd notes
pwd
cat ../topics.txt
pwd の末尾が /naminori-cli-practice/notes になり、cat で3行が表示されれば成功です。topics.txt は、今いる notes の1つ上にあります。だから ../ を付けます。
わざと間違えてみます。
cat ./topics.txt
cat: ./topics.txt: No such file or directory
./ は「今いる場所(notes)」なので、そこには topics.txt がありません。修了課題で見られたのが、この取り違えです。No such file or directory が出たら、まず pwd で今いる場所を確かめてください。
最後に、元のフォルダへ戻ります。
cd ..
pwd
7. 絶対パスと相対パス
ここまでの ../topics.txt や notes は、今いる場所を起点にした書き方(相対パス)です。同じコマンドでも、今いる場所が変わると別のファイルを指します。
一方、pwd が表示する / から始まる書き方を絶対パスと言います。どこにいても同じ場所を指します。
pwd
cat "$(pwd)/topics.txt"
"$(pwd)" は、pwd の結果(今いる場所の絶対パス)をその位置に入れる書き方です。表示される絶対パスはパソコンごとに違うため、ここでは自分で打たずに済むようにしています。
見分け方は、先頭が / かどうかです。修了課題の「絶対パスか相対パスかを説明する」問題も、ここが言えれば答えられます。
仕上げの練習問題
答えを見る前に、実行したら何が表示されるかを先に予想してから打ってください。
-
notesに入り、topics.txtをnotesの中にコピーする。lsで確かめる -
notesにいるまま、../copy.txtの中身を表示する - 1つ上に戻り、
printf 'Git\n' >> topics.txtを実行する。topics.txtとcopy.txtの行数をwc -lで比べる
答え
-
cd notes→cp ../topics.txt .→lsでtopics.txtが表示される。最後の.は「今いる場所へ」の意味 -
cat ../copy.txtでHTML・JavaScript・SQLの3行 -
cd ..→wc -l topics.txt copy.txtで、topics.txtは4行、copy.txtは3行(最後のtotalの行は合計)。>>は上書きせずに末尾に追加する。コピーしたあとに追加したので、コピー側は変わらない
練習フォルダは、このまま残しておいて構いません。消し方はこの記事では扱いません。削除のコマンドは取り消せないので、意味を理解してから使ってください。
よくある質問
Windowsでも練習できますか?
WSL(Windows上でLinuxを動かす仕組み)を入れれば、この記事のコマンドがそのまま使えます。PowerShellでは ls や cd は似た動きをしますが、printf や grep・wc は動きません。
No such file or directory と出ます
ほとんどの場合、今いる場所が思っている場所と違うか、ファイル名のつづりが違うかのどちらかです。pwd で場所を、ls で名前を確かめてください。大文字と小文字は別の名前として扱われます。
コマンドを全部覚える必要はありますか?
ありません。やりたいこと(場所を知りたい、中身を見たい、探したい)から、コマンドを選べれば十分です。オプションは man ls のように man の後ろにコマンド名を付けると説明が読めます(終了は q)。
Linuxの勉強全体は、何から進めればいいですか?
学ぶ順番や資格の使い方はLinuxの勉強方法にまとめています。この記事は、その中の「手を動かす」部分です。
まとめ
- コマンドを1つ打つたびに、
pwdとlsで結果を確かめる - 受講ログでは、選択式でパスを選べた人も、自分で書くと
./と../を取り違えていた -
.は今いる場所、..は1つ上。先頭が/なら絶対パス、それ以外は相対パス -
No such file or directoryが出たら、まずpwd - 「ファイル操作」の回で多くの人が止まっていたのは、確認テストの正解の誤りが原因だった(2026年9月29日に修正)
この記事の10個のコマンドとパスは、UNIX初級講座(全7回・無料)で順に確認できます。修正した「フォルダ操作」「ファイル操作」の回も、今は正しく採点されます。
参考資料
- Ubuntu「The Linux command line for beginners」 https://ubuntu.com/tutorials/command-line-for-beginners
- GNU Coreutils マニュアル https://www.gnu.org/software/coreutils/manual/coreutils.html
- Microsoft「WSL を使用して Windows に Linux をインストールする方法」 https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/wsl/install
無料の学習講座で、いまから手を動かす
AI開発からWeb開発まで、未経験でも進められる講座を無料で公開しています。
会員登録(無料) すると、気になる求人の保存と講座の受講履歴の記録ができます。
この順番で合っているか、確認しませんか
学習の順番は、目指す職種によって変わります。いま考えている進め方を書いて送ってもらえれば、無料講座の内容と実際の求人要件に照らして返答します。
相談を書いて送る(無料・会員登録なし)返答までお時間をいただくことがあります。