ITパスポートの難易度はどれくらい?合格率や勉強する際のポイントを解説

エンジニアへの転職を考えている方の中には、ITパスポートの取得を検討されている方も多いのではないでしょうか。
目次
ITパスポートの難易度はどれくらい?合格率や勉強する際のポイントを解説

エンジニアへの転職を考えている方の中には、ITパスポートの取得を検討されている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ITパスポートの難易度、合格率、効果的な勉強方法、そして試験内容について、転職支援の専門家の視点から詳しく解説します。
さらに、転職市場におけるITパスポートの位置づけや、取得することのメリットについても掘り下げていきますので、ぜひ参考にしてください。
また、現役エンジニアに相談できる転職サイトのナミノリでは、未経験者に向けたエンジニアの求人を多数紹介しています。ITパスポートを取得した後にITエンジニアに転職を考えている方は、ぜひご活用ください。
ITパスポートの難易度

ITパスポートは、経済産業省が認定する、ITに関する基礎知識を証明する国家資格です。
IT系の入門資格として位置づけられており、きちんと対策すれば十分に合格できる資格です。そのため、エンジニア転職の足がかりにしたい方や、IT業界の知識を体系的に学びたい方に適した資格と言えます。
しかし、ITパスポートの資格試験は出題範囲が非常に広いため、計画的な学習が必要になります。闇雲に勉強するのではなく、戦略的に学習を進めることがポイントです。
また、ITパスポートの取得は知識を証明するだけでなく、エンジニアに必要な論理的思考力や問題解決能力を養うという意味でも役立ちます。
ITパスポートの合格率
ITパスポートの合格率は、例年50%前後で推移しています。そのため、国家資格の中では比較的取得がしやすい資格の1つと言えます。
また、IT関係ではない企業に勤めている社会人の合格率だけを見ても50%を超えていることも特徴の1つです。そのため、IT系業務の未経験者でも挑戦しやすい資格とも言えるでしょう。
2024年度の合格率データ
2024年度の合格率は2024年4月から2025年2月で49.7%です。社会人と学生で分けると、社会人の合格率は52.4%、学生の合格率は39.7%と社会人の方が高い合格率となっています。
また、社会人の受験者をIT系の業務に携わっているかどうかで分けると、IT系の業務に携わっている人の合格率は51.0%、非IT系の業務に携わっている人の合格率は52.7%です。
IT系の業務に携わっている人の方が有利なイメージをしがちですが、実際にはIT系の業務に携わっていない人の方がITパスポート試験の合格率が高いという意外な結果となっています。
他のIT系資格(基本情報技術者・MOS)との難易度比較
基本情報技術者試験は、ITパスポートの上位資格にあたり、ITエンジニアやプログラマーを目指す人が取得する国家資格です。ITパスポートが「ITの基礎的な知識を広く浅く問う試験」であるのに対し、基本情報技術者試験は「実践的なITスキルやプログラミングの基礎を問う試験」となっており、難易度は大幅に上がります。
MOSは、MicrosoftのOffice製品(Word、Excel、PowerPointなど)のスキルを証明する民間資格で、実技試験が中心です。ITパスポートが「IT全般の知識を問う試験」であるのに対し、MOSは「Microsoft Officeの実践的なスキルを問う試験」であり、出題範囲や目的が大きく異なります。MOSは実務経験がある人にとっては対策しやすく、合格率も80%以上と高めで比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。
ITパスポート試験の合格基準

ITパスポート試験は、総合評価点と分野別評価点の両方で基準点をクリアする必要があります。具体的には、総合評価点が600点以上、それぞれの分野別評価点が300点以上でなければいけません。
この二重の評価基準は、受験者の知識の偏りを防ぎ、幅広い分野の基礎知識を習得していることを確認するためのものです。
総合評価点
総合評価点は、1000点満点中600点以上が合格ラインです。これは、単純な正答率だけでなく、問題の難易度なども考慮して算出されるため、6割以上の正解で必ずしも合格できるとは限りません。過去問を解いて勉強する際には、正答率だけでなく、総合評価点も意識しましょう。
分野別評価点
分野別評価点は、ストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジ系(IT技術)の3分野それぞれで、1000点満点中300点以上が必要です。
各分野で一定レベル以上の知識が求められるため、苦手分野を作らないことが重要です。各分野の出題割合はほぼ均等なので、どの分野もバランスよく学習する必要があります。
足切りラインについて
各分野で300点未満の評価点があると、総合評価点が600点以上でも不合格となります。そのため、苦手分野を作らず、バランス良く学習することがポイントです。
この足切りラインの存在は、ITパスポートが単なる知識の詰め込みではなく、幅広い分野の基礎知識を総合的に理解しているかを問う試験であることを示しています。
苦手分野を克服するためには、体系的にまとめられた参考書を繰り返し読んだり、オンライン学習教材を活用したりするなど、知識を過不足なく学べる学習方法を見つけることが大切です。また、模擬試験などを活用して、自分の苦手な分野を把握し、勉強し直すことも有効です。
ITパスポートの試験内容

ITパスポート試験は、以下の3つの分野から出題されます。これらの分野は、IT業界で働く上で必要不可欠な知識を網羅しており、エンジニアだけでなく、IT関連の仕事に携わる全ての人にとって有益な内容となっています。
ストラテジ系(経営全般)
ストラテジ系では、企業活動、経営戦略、マーケティング、財務、法務など、経営に関する幅広い知識が問われます。なぜなら、エンジニアとして働く上でも、ビジネス視点を持つことは非常に重要だからです。
例えば、システム開発のプロジェクトにおいて、顧客の経営課題を理解し、それに対応した提案を行うためには、経営に関する知識が必要です。また、企業の経営状況を理解することで、自社の製品やサービスの価値をより深く理解することにもつながるでしょう。
マネジメント系(IT管理)
マネジメント系では、システム開発、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査など、ITプロジェクトの管理に関する知識が問われます。プロジェクトを円滑に進めるための基礎知識を身につけましょう。
納期を守りつつ、限られたリソースでプロジェクトを成功させるためには、プロジェクトマネジメントの知識が必須です。また、システムの品質を維持し、安定稼働させるためにも、サービスマネジメントの知識が重要になります。
テクノロジ系(IT技術)
テクノロジ系では、コンピュータシステム、ネットワーク、データベース、セキュリティ、ソフトウェア開発など、IT技術に関する基礎知識が問われます。テクノロジ系は、エンジニアとしての基礎を固める上で、最も重要な分野です。
例えば、システムを構築する上で、コンピュータの仕組みやネットワークの基礎知識は必要不可欠です。また、データベースの設計や運用、セキュリティ対策なども、エンジニアとして働く上で避けて通れない知識と言えるでしょう。この分野は、常に新しい技術が登場するため、継続的な学習が求められます。
ITパスポート合格に必要な勉強時間

ITパスポートの合格に必要な勉強時間は、個人の知識レベルや学習ペースによって大きく異なります。一般的には、以下を目安に学習計画を立てると良いでしょう。
IT初心者の場合
全くのIT初心者の場合は、150時間~200時間程度が学習時間の目安です。
基礎知識の習得から過去問演習まで、きちんと時間を確保して計画的に学習を進めましょう。まずは、IT用語辞典などを活用して、基本的な用語の意味を理解します。その後、参考書やオンライン学習教材を使って、各分野の基礎知識を体系的に学んでいく方法が効果的です。焦らず、着実に知識を積み重ねていくことが大切です。
IT系の知識がある場合
ある程度のIT知識がある場合は、80時間~120時間程度の勉強時間が学習時間の目安です。
ITパスポートの試験範囲は広いため、経験者であっても油断せずに、網羅的に学習することが重要です。
特に、最新の技術動向や法改正など、自分の持つ知識が古くなっている可能性がある分野については、重点的に学習する必要があります。また、過去問を解いて、自分の弱点を把握し、集中的に対策することも重要です。
効率の良い学習方法

効率よくITパスポート試験に合格するための学習ステップは、以下の5ステップです。
- STEP.1 ITパスポートの試験範囲の全体像を把握する
- STEP.2 全体を通して基礎知識を学ぶ
- STEP.3 過去問を解いて苦手な分野を洗い出す
- STEP.4 苦手な分野を学び直す
- STEP.5 過去問や模擬テストで学習の成果を確認する
これらのステップを順番に正しく進めることで、無駄なく、着実に合格に必要な知識を身につけることができるでしょう。
STEP.1 ITパスポートの試験範囲の全体像を把握する
まずは、試験範囲全体を把握し、どの分野にどれくらいの時間をかけるべきか、学習計画を立てましょう。
IPAの公式サイトで公開されているシラバスや、市販の参考書を活用することがおすすめです。シラバスには、各分野の出題範囲が詳細に記載されているため、学習の指針となります。
また、参考書には、試験範囲全体を網羅した上で、わかりやすく解説されているものが多いため、効率的に学習を進めることができます。
STEP.2 全体を通して基礎知識を学ぶ
参考書やオンライン学習教材などを活用して、基礎知識を体系的に学びましょう。
用語の意味を理解し、図解などを活用して視覚的に覚えることも効果的です。特に、IT初心者の場合は、基礎知識の習得に十分な時間をかけることが重要です。焦らず、じっくりと理解を深めていきましょう。また、わからない用語や概念が出てきたら、その都度調べることもポイントです。
STEP.3 過去問を解いて苦手な分野を洗い出す
次に、過去問を繰り返し解いて、自分の苦手分野を明確にします。IPAの公式サイトで過去問が公開されていますので、積極的に活用しましょう。
過去問を解く際には、時間を計って本番を想定した環境で行うと、より効果的です。間違えた問題は、答えを確認するだけでなく、なぜ間違えたのかを分析し、理解できるまで復習することがポイントです。
STEP.4 苦手な分野を学び直す
苦手分野については、参考書を読み返したり、オンライン学習教材で補強したりするなどして、徹底的に克服しましょう。苦手分野を克服することで、総合的な得点アップにつながります。また、苦手分野を克服する過程で、新たな発見があることもあります。
STEP.5 過去問や模擬テストで学習の成果を確認する
最後に、再度過去問や模擬テストを解き、合格レベルに達しているかを確認しましょう。
時間配分にも注意し、本番を想定した練習を重ねることが重要です。模擬テストは、本番の試験と同じ形式、時間配分で行われるため、本番前の良い練習になります。
また、模擬テストの結果を分析することで、自分の弱点や課題を再確認できます。弱点や課題を見つけたら、再度学習をして克服しましょう。
ITパスポートの勉強をする際のポイント

ITパスポートの勉強を効率的かつ効果的に進めるためのポイントは、主に以下の4つです。
- 出題範囲を正しく把握する
- 参考書と問題集を組み合わせる
- 過去問から出題傾向をつかむ
- アプリやオンライン学習を活用する
これらのポイントを押さえることで、学習のモチベーションを維持し、合格に近づくことができます。
出題範囲を正しく把握する
IPAの公式サイトで公開されているシラバスを参考に、出題範囲を正確に把握しましょう。
頻出分野や、自分が苦手とする分野を重点的に学習することで、効率よく得点アップを目指せます。シラバスは、試験範囲の変更や改訂があった場合に更新されるため、常に最新の情報を確認するようこともポイントです。
参考書と問題集を組み合わせる
参考書で基礎知識を学び、問題集で実践的な問題に慣れるという、インプットとアウトプットのバランスが大切です。
また、自分に合った参考書や問題集を見つけることも、学習のモチベーション維持につながります。複数の参考書や問題集を比較検討し、自分に最も適したものを選ぶようにしましょう。
過去問から出題傾向をつかむ
過去問を繰り返し解くことで、出題傾向や問題の難易度を把握できます。
頻出問題や、よく問われるポイントを押さえることで、効率的な学習が可能になります。過去問は、少なくとも過去3年分、できれば5年分以上を解くようにしましょう。また、過去問を解くだけでなく、解説をしっかりと読み込み、理解を深めることが重要です。
アプリやオンライン学習を活用する
スマートフォンアプリやオンライン学習教材を活用すれば、隙間時間を有効活用できます。
通勤時間や休憩時間など、ちょっとした時間を使って学習を進めましょう。アプリやオンライン学習教材は、場所を選ばずに学習できるだけでなく、ゲーム感覚で楽しく学習できるものも多く、モチベーション維持にもつながります。
まとめ

ITパスポートは、エンジニアへの転職を目指す方にとって、非常に有効な国家資格です。
難易度は決して低くありませんが、計画的な学習と正しい対策を行えば、合格できる難易度です。
この記事で紹介した学習方法やポイントを参考に、ぜひITパスポート試験にチャレンジしてください。そして、ITパスポートの取得を足がかりに、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせましょう。
また、現役エンジニアに相談できる転職サイトのナミノリでは、未経験者に向けたエンジニアの求人を多数紹介しています。ITパスポートを取得した後にITエンジニアに転職を考えている方は、ぜひご活用ください。